中国航空博物館 その1


DC280J

ずらっと並んだトラディッショナルミグの隊列。


 既に戦車博物館(坦克博物館)を紹介したけど、北京郊外の昌平にはもう一つハイライトがある。というか、こちらの方が有名らしく北京市内で買った地図にも載っていた。それが中国航空博物館である。古い飛行場が古い飛行機と共にそのまま博物館に身をやつしてしまった代物で、とにかく敷地は広く、無数の航空機が無動作に散らばっているので、拙僧のような数奇者には堪えられないものがる。半日は充分遊べるので、入場料50元(700〜800円位)は格安である。
 正面玄関から向って正面には飛び立とうとするF7の発展型(詳細不明)のモニュメントとそれを飾るSA−2ガイドラインと対空機銃が目を引く。右側には、バンカーとして使われていたのであろう格納施設がそのまま屋内展示場になっており、その入り口手前にも旧式ミグやレシプロ時代の戦闘機が展示されている。正面を進むとずらっと葉巻タイプの旧式ミグが並んでいて壮観だが、説明は一切無いので諸タイプの違いはわからない。向って左側はQ−5ファンタンAと輸送機、更に奥は爆撃機とヘリコプターのブースとなっていた。展示されている機体には中国史上重要な役割を担ったものも含まれているらしく興味は尽きない。トイレは少なく、また購買所のような所はないので飲料や簡単な食料の携帯をお勧めする。飲料などは玄関の敷地外で購入可能だ。
 アクセスは地下鉄駅のある安定門から912路を利用する。やはり北京中心からは1時間ほどかかるだろう。戦車博物館と航空博物館を1日で巡りたい人はホテルでタクシーをチャーターしたほうが、安全料も含めれば安上がりかもしれない。
 尚、本来ならオリジナルのミグと中国がコピー生産したF5〜F7は分けるべきだし、実際その両方が展示されている筈なのだけど、拙僧には殆ど違いは分からないので本コンテンツではこだわらない事にした。


初期のMig−21を国産化したのがF7で、それを双発にして大型にしたのがF8であり、さらに機首を近代的に大改造したのがこのF8Uである。中国表記は「殲撃8U」。その開発経緯もルックスもSu−9から発展したSu−15に似ている。用兵目的は違うけど。
細長くてスマートなボディだけど格闘性能は悪そうだ。2002年だか2003年だかに海南島でアメリカのスパイ偵察機と接触したのもこれである。



Mig−19を国産化したのがこのF6である。
ルックスはぱっとしないけど、拙僧は1995年前後に新疆で訓練中のF6(復座型かもしれない)を目撃したが、極めてトリッキーな飛行を披露していた。実際、格闘性能の良い戦闘機であるらしい。
構造的な欠点はエアダクトが機種にあるから、搭載できるレーダーに制限がある事だ。



ここからは洞窟の中に展示してある飛行機になります。撮影に使ったのがDC280Jなのでフラッシュのパワーが足りず、暗い画像なのはご了承ください。
レシプロのボディに単純にジェットエンジンを乗っけたという、我々の常識ではちょっと信じられない戦闘機がYak−15シリーズであります。
Yak−15では尾輪が焦げてしまうので車輪のレイアウトを変えたのがYak−17、この機体は復座なので恐らくYak−17UTIでしょうな。


An−2。乗用車並のスピードで低空を飛行できるので韓国軍の警戒装置に引っ掛からないというのが朝鮮半島もののお決まりのストーリーである。
この機体は中国史上重要な役割を果たしたそうである。


Mi−24、多分ハインドDだ。あまりといえばあんまりなペインティングがなされていて涙を誘う。
きっと、こいつが現役時代にソ連がくれなかったら恨んでるのでしょう。



一式陸攻があるという噂を聞いていたので楽しみにしていたんですが、あったのは川崎99式軽爆でした。
重慶とか桂林とか爆撃したと書いてあります。



拙僧はこの機種に詳しくないのですが、高さんという英雄的パイロットがこのカーチスの複葉機で日本軍と戦ったらしいです。但し、国民党のマーキングがありますな。



これがMig−15やMig−17に積んであるクリモフらしい。
ロールスロイスのコピーですな。



洞窟の外にはレシプロ戦闘機も複数展示されている。これはLa−9で中国語では「拉−9」と表記する。
北京防空用として運用されたものらしい。



入り口正面では飛び立とうとするF7のサブタイプとSA−2ガイドライン(多分国産ものだろう)、それに対空機関砲が来場者を歓迎する。
チェーン用ポールがミサイル型なのに注目。



同じく入場者歓迎の為に出迎える葉巻型ミグの隊列。
ちなみにミグの中国表記は「美格」。



よく見ると先頭のこれは人民解放軍のものではない。
政治色の強いスローガンが数奇者を泣かせるチャームポイントだ。



左がMig−17のコピーであるF5で右がMig−19のコピーであるF6。
F6がアトールを装備しているのに注目。



場当たり的ではあるのものの、初めて中国が設計した戦闘機がこのF8。文化大革命の影響で中国のあらゆる産業の技術は20年は遅れてしまった。F8もその影響を受けている。
先ほどのアトールとは弾頭部が異なる事に注目。片方が赤外線シーカーで片方がレーダー誘導なのだろうか?



Mig−19(ということはF6)の機首を近代的に大改造し、ボディを延長して低空侵入可能な攻撃機として取り纏めたのがこのA5ファンタンである。中国表記は「強撃5」、拙僧が好きな機種だ。
正面から見るとMig−19とはまるで別物に見えるが、リアビューではその面影を垣間見る事ができる。

拙僧は知らなかったのだが、中国の新型攻撃機としてジャガーによく似た攻撃機がF7(J7だったかも)として紹介されているのを北京市内の別の航空宇宙科学博物館で見た。あまりにもよく似ているので何らかの技術提供があったのかもしれない。まあ、我国の三菱F−1だって人の事をとやかく言える筋合いじゃないけど。
そのジャガーもロートルな機体だし、最近の中国は景気が良いからSu−27/30の輸入・ライセンス生産で入れ替わっていくようだ。

 では、中国航空博物館 その2を見て下さい。

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