男が中古で単車を選ぶ、こんな淫靡で魅力的なことが他にあるだろうか?単車全否定の彼女(現妻)と知り合い、拙僧が単車から離れて丸二年。鋼の妻の首を立てに振らせる努力は涙無くしては語れぬものであり、同時にそれを伝えるには余りにも誌面が足りない。
 何はともあれ、中古で単車を買う事が、我が家の全国人民代議員大会で承認されたのである。諸事情による関東からの東海への移籍、再就職から3ヶ月目の事だ。それからは、いや、それ以前から中古雑誌を読みながら一喜一憂する毎日を過ごしていたのだが、何時までも俊巡する訳も行かない。取り立ててオフロードに操を立てている訳ではないが、ロード車を買ったとしてもダート路を引き返せない性格であるのは己が良く知っており、カテゴリーをデュアルパーパスに絞った。実際に買う寸前まで行ったのは、DR−400Z、XR650L、そしてDT230といったところなのだが、DR−400Zは既に売約済み。XR650Lは予算超え。そしてDT230は店が少し遠いという事で煮え切らない思いを続けていた。ところが、ふとインターネットサーフィンで検索すると、走行距離2000kmそこそこのAR直前のCRM250Rが乗り出し40万円位で見つかったのである。店は三河で少々手広くやっている店の安城店で、岡崎店なら拙僧宅から歩いて5分ほどにある。さらに中古車も1年間の保障付だというのだ。早速愛車のビート(当時)を安城に向けたのである。


 
納車時にはダート走行をためらったが・・・。右は傷をつける前のチャンバー。

 で、物件は走行距離2000kmそこそこと言うのが実走であると思わせるほどピカピカ。ブレーキディスクの減りも全くなし。下回りを含めたフレームにも傷一つ無く、ダート走行も無縁そうであった。サスペンションのシール類は年式相応の劣化があったが、こう言ったものはダート走行早々に不具合が出るものなので保障で切り抜けられると考えられた。店員に尋ねると敵もさるものでサスペンション回りの保障は3ヶ月と言う事だから、早めの駄目だしが必要であろう。納品と保障を岡崎で受けられる事を確認しただけで、対した商談も無く、速攻で12回ローンを組んでしまいました。
 2週間後には納車である。自分で傷をつけるまえに写真を撮っておかないと・・・。


 
これくらいのガレ場、廃道であれば楽勝である。単車の性能が良いので。

 愛車たる拙僧のCRMは所謂’95である。基本的な外装はARと同じで、タンクが黒で樹脂部が白、赤を基調としたデザインのステッカーを纏っている。よくよく考えると8年落ちの2st車に40万を払ったのかと思うと背筋に冷たい物が・・・、いやいや男は後ろは見ないのである。何はともあれ、キック一発でかかったエンジンから吐き出される、焼けたガソリンとオイルの香りに囲まれるのは、30男の血を沸かせる物であり大変良い気分だ。余りにも綺麗なのでダートなんか走るのはやめようかと思ったんだけど、やっぱり走ってしまうのだ。おっと、その前にブレーキレバーとブレーキパットの当たりが悪いのでクレーム調整してもらいました。

 
やっぱりダートを走ってしまうのである。初めから付いていたタイヤは、マディに弱し。

 
土地感が無いので、それらしいダート路を端から走る。よって、勇気のUターン率も高し。

 気になっていたサスペンションは2ヵ月後の台風一過の朝に、リア回りからオイルが垂れているのを発見。無事、クレーム修理と相成りました。どうやら、フロントは大丈夫みたい。その間、1回の転倒と1回の立ちゴケをかましてしまいましたが、立ちゴケ時には珠のチャンバーに傷をつけてしまいました。涙涙でございます。

 
何時の間にか張り付いた蜘蛛さんと、ジャンボどら焼きのようなきのこ。

 さて、拙僧にとってはKDX200SRやXR−Baja以来、2年ぶりとなる単車である。簡単に感想を述べると、やはり排気量が大きい分、全体的に余裕がある印象だ。年式的に後発であり、また、バランスよくお金がかかっているようで信頼性も高そうだ。KDXがお金が掛かっていない訳ではないが、お金のかかり具合に偏りが有ったと思う。それが、KDXのユニークなポイントでもあるのだが。例えばCRMのサスペンションが良い。それは拙僧のようなへたれがガレ場を走るのに都合が良いと言う意味なのだ。エンデューロコースでジャンプをするにはKDXのサスが適しているだろう。
 エンジンはフラットだが3速まではクロスしている事もあってか吹きけ上がりが早く、シフトチェンジは煩雑である。街中や峠であればXR(Baja)の方が速く走れる気がする。気のせいかKDXの方がきびきび走れた気がするが、拙僧が年を食ったせいかもしれないし、感覚だけでトータルな速さCRMの方が速いかもしれない。どうも優秀なホンダ車と言うイメージから4st車のような快適感を想像していたが、やはり2st車らしい短所は同じである。思えばKDXと言う単車も、シール面等でのいい加減さが改善されていれば、今でも遊べる単車なのでは無いかなあ?100km/h超え時のビーティングは、KDXもCRMも似た様な物であった。
 舗装路走行時ではXR(Baja)の吸い付くような設置感は無いが、2stらしい蹴っていく感覚で峠を走る事も可能だ。ダート路では圧倒的にCRMが楽である。はっきり言って自分が上手くなったような錯覚を覚える。シート高は高く、KDXでは両足のかかとが地面についたがCRMでは浮いてしまう。それでも、セルが無いのが玉に傷だが、拙僧のようなへたれが乗って敷居が低い単車であろう。下手ほど良い単車に乗るべきである。

 
廃道の限界と勇気のUターン。

 総括では大変気に入っており、充分に単車生活を謳歌するつもりだったのだが、残念ながらお病気による療養生活のため、思ったより走行距離は伸びない。まあ、この単車は残すつもりなので、ゆっくり付き合い続けるつもりである。

購入後早々、傷をつける前に撮った写真。


CRM250R その2

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(了 2004/1/23)
CRMと拙僧