上海相照机有限公社 海鴎4B


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北京市朝陽区骨董品市場で40元程で買ってきた海鴎。一番良さそうな奴を選んだつもりだったのだが・・・。

☆ジャンク度☆
シャッター速度バラバラ
張り革ボロボロ
なんとか撮影可能


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 ケースには羽ばたく海鴎のマークが。

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 撮影レンズとビューレンズは同じ型番である。
 3群3枚のクックタイプトリプレット。

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 撮影レンズの脇に、チャージレバーとレリーズボタン、絞り・シャッタースピードレバーが配置。

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 これ以下はない貧相なフォーカシングノブ。

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 表示と実際に切れるシャッターのスピードが違うので一覧表を作ってある。

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 漢字のネーミングはかっこいい。

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 フードを倒すとスポーツファインダーになる。

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 開閉も漢字で書かれると乙。

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 モルトではなく、劣化知らずの毛糸で遮光。

注!! 本ページは2011年2月に大幅に修正した。

海鴎(4B)について
 中国における初めての国産生産カメラは、1958年上海相照机廠による「上海58−T」とされている。これはライカVbの模倣ともいえるものである。翌年、距離計を一眼式とした「上海58−U」の生産を開始する。と、ここまでは割とよく知られるカメラである。実は「上海58−V」「上海−W」とモデルは続くのだ。「上海−V」は折り畳み式蛇腹カメラであり、「上海−W」はシンプルな二眼レフカメラなのだ。前者は「海鴎203」等の起源となり、後者は当然本カメラの起源となっている。上海相照机廠も上海海鴎相照机(カメラ)有限公社に変わっている。
 海鴎(4B)は極めてシンプルな赤窓ノブ巻き上げ式二眼レフカメラである。以前の上海照相机有限公司は海鴎ブランドとして中判カメラの他、35mmカメラ、引延機などを幅広く扱っていたようである。以前は歴史的な製品の簡単な紹介が公式HPに載っていたのだが、リニューアルされて写真しか表示できなくなってしまったのは残念である。管理人による中国の複数のコンテンツのいい加減な翻訳と天津・北京の骨董品市場を歩き回った限りでは、二眼レフの海鴎はとクランク巻き上げ式(4A)ノブ巻き上げ式(4B)が存在し、また、露天商の親爺によれば其々に改良型(4A−T、4B−T)が存在るようである。(4A)と(4B)の違いは、簡単に言うとローライフレックスとローラーコードの関係に似ていると言えよう。他にはビューレンズが(4A)では75mmF2.8なのに対し、(4B)では75mmF3.5となっている。撮影レンズは双方ともクックタイプの3群3枚トリプレット型75mmF3.5である。(4A−T)のレンズは3群4枚テッサー型に改良している。現在でも日本で目にする「シーガル二眼レフ」は、この後裔機であろう。以前の上海相照机有限公社のHPによれば35mmフィルムを使用可能な(4C)と言うモデルが存在するようだ。何れのモデルも60年代後半から販売を開始し、80年代には後裔機にバトンタッチしている
 尚、基本的な構造を継承し、ホットシュー等のマイナーチェンジと品質向上を行ったモデルが、現在も主に国内や海外の好事家(他でもない我々の事ですな)向けに生産されている。日本国内では外国向けブランド名であるシーガルの名前で一部販売されている他、日本の商社にてTEXERのブランド名で発売したものも市場では見受けられるようだ。
 尚、あくまでも管理人の雑感だが、中国製工業製品はその供給先によって様々に異なる生産管理下に置かれる為、もっとも管理が行き届いていると思われる日本商社の正規輸入品と中国国内一般向けのそれでは天と地程に品質の開きがある事を特筆する必要があるだろう。また、この種の文物カメラも中国国内では値が上がりつつあるようだ。
                    ☆                 ☆
海鴎(4B)の使用感
 写真を撮影する上において必要最小限の機能と品質を備えたカメラだと言う事が出来るだろう。セミ判マスクが付随し、背面のセミ判巻き上げ様の赤窓を使用する事によってセミ判撮影が可能だが、マスクが干渉してフィルムに傷を引きずる可能性がある。オートマットもセルフコッキングも存在せず、赤窓にてフィルム背面に記述された撮影枚数を確認しながらノブにてフィルムを巻き上げ、レンズ右側に位置するシャッターチャージレバーにてチャージを行う。一般的な二眼レフと同様にレンズ左右に絞りとシャッタースピードを設定するレバーがそれぞれ位置する。管理人の個体はどう言う訳か幾つかのスピードにおいてはレバーによる指示と実際のシャッタースピードがばらばらで、例えばレバーの位置が1/30の時に1/2で切れてしまう代物である。別段、不安定な訳ではなく同一性は保たれている様なので、管理人は対応表をカメラ背面に張る事で対応している。
 ファインダは暗い物の焦点は合わせ易く、ファインダ内にルーペが付属する。ファインダ前面は跳ね上げてスポーツファインダとして使用が出来まるが、どれ程実用になるかは不明である。また、ファインダーにはセミ判の指標線が描かれている。軽いボディと静かなレリーズ音も特筆する必要があるだろう。
 開放ではぐるぐると渦を巻く様なボケを牽くが、F8程に絞ると簡素なボディとは裏腹に繊細でデリケートな線と硬調なトーンをプリント上に得る事が出来る。カラーでも問題ない発色を得るががモノクロで楽しんで欲しいレンズである。
                    ☆                 ☆
海鴎(4B)との出会い
 
留学中の友人を訪ね訪中、北京・天津の町を無目的に歩く事を主としていた物の、むらむらと中国製カメラを買いたいと言う欲求を抑えきれず、散々歩き回った末に辿り着いた朝陽区骨董品市場にて購入したのが管理人の海鴎だ。ダース程の海鴎をガラクタの山から掘り出して、一番まともそうな物を約3000円ほどで購入。翌々日に初めて参加した撮影会に早速持参した。
 漢字名を掲げたフロントマスク、ミラーアップによるファンダー像の消失と静かなレリーズ音は、同じウェストレベルの視点でもブロニカとは違った印象をモデルさんに与えるようだ。ポートレイトにスナップにと、もっと頻繁に使用したいのですがサブカメラとしては少々嵩張り稼働率はイマイチである。何時かは本カメラだけで旅に出たい物だが・・・。

 

 初撮影会
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 前日の北京の骨董品(=ガラクタ)屋で買って来た海鴎を、翌日の八王子で試し撮りもしないまま翌々日の撮影会に使用。管理人にとって始めての撮影会でもあった。  ぐるぐる渦をまくボケが心地よい。

 シアトル
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 シャッターショックは殆ど無く、しっかりと腕でホールドすればスローシャッターも切れる。

 スナップ・カラー
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 スタジオ撮影結果も見た頂きたい。

(了:2009/12/13)

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