ペトリV6U
ペトリV6Uについて
 ペトリの前身である栗林工業は、古くは戦前からスプリング・カメラ等を生産していた老舗のカメラメーカーです。かつては中級機一眼レフを中心として一定の市場を確立していたと言われているのですが、残念ながらMF一眼レフカメラ熟成期に姿を消してしまいました。丁度、カメラの自動化がAFへと進んでいった時期と重なるかもしれません。管理人が北米に滞在中、カメラ雑誌や中古カメラ市場にてミランダやトプコンの一眼レフの姿を見る機会はありましたが、ペトリの姿を見た記憶はありません。もしかしたら、海外市場での苦戦もあったのでしょうか?
 ペトリV6Uの素性は詳しくは管理人も不明です。フォーカルプレン横走り機械式シャッター一眼レフ、レンズは自動絞りで露出計を外付けするマウントがある所等から、恐らくアサヒ・ペンタックスAPやミノルタSR辺りの時代のカメラだと思われます。シャッタースピードは1/500に抑えられており、廉価版一眼レフと言う位置付けだったのでしょう。ペトリの一眼レフシリーズは独特の傾斜したペンタ部と、ボディ前面から斜めに突き出したシャッターボタンが特徴となっています

                    ☆                 ☆
ペトリV6Uの使用感
 本カメラはスピゴット・マウントを採用しており、レンズ脱着時にはレンズ側を捻るのではなく、ボディ側にあるリングを廻し、レンズを固定します。撮影に関しては、一般的な露出計の無い一眼レフカメラでの撮影と変わり有りません。しかし、やはりシャッター・ボタンの位置には戸惑ってしまいます。カメラを構えると、以外にシャッター・ボタンに指かかりが良いのですが、ストロークが短い為にカメラを構えた途端に不意にシャッターを切ってしまいます。ファインダーはMF時代のカメラだけあって少々ピント合わせは快適です。露出情報の掲示や、スプリット・イメージも無くシンプルです。
 正面から見て左前面に露出計をマウントすると思われる突起物が2つあります、また、シャッター・ダイヤル上にも突起物があり、連動する専用露出計が存在していたのでしょう。ペトリのアクセサリーを中古カメラ屋の店頭で見かける事は稀で、時折ジャンクコーナーに標準レンズを見かける他は交換レンズも見かける事は殆どありません。
 管理人のペトリにはC.CAuto55mmF1.8が付属していました。ペトリからは21mmから1000mmまで、マクロやズームレンズを含めた多種に渡るレンズを販売していたらしいのですが現在見かける事は稀で、管理人は55mmの他は35mmと135mm、28mmを見かけた他は見た事が有りません。このレンズにはストロボ使用時のGnoに対応した撮影距離の指標となるリングがついています。殆どのレンズにはこのリングがついているのですが、以前付いていないレンズも見た事があります。取り立てて特筆すべき描写では無いですが、それなりのカラープリントを得る事が出来ます。稀にシャッターレリーズ後にファインダが真っ暗になってしまって焦るのですが、どうやらミラーの戻り(クイックリターン)に不調を抱えているらしく、レンズシャッター一眼レフの様な使い心地を味わう事が出来ます。ペトリFTEEも同じ傾向が有るし、ペトリ特有の持病なのかしら。

                    ☆                 ☆
ペトリV6Uとの出会い
 そのデザインが、どこか過去に存在した工業デザインの理想を表現している様な気がして、以前からペトリやミランダ等の既に消滅してしまったメーカーの独特のデザインの一眼レフカメラに関心がありました。以前、ジャンク箱から救出したペトリFTEEが、やはりジャンクだった事から遠ざかっていたのですが、帰省した折に、ふと実家近くのカメラ屋のウィンドウを眺めると、レンズ付きペトリV6Uが5000円で並んでおり、かつての興味が再燃してしまいました。フィルムカウンターが不良、レンズに曇りがあったのですが、肝心のシャッターは大丈夫そうで、レンズは既に一つ持っている事から購入に到りました。その後、レンズは元メーカー勤務の友人の手により見違えるように綺麗になりました。
 こう言うカメラの魅力は、「一昔前の日本」と言う異文化の雰囲気を楽しむことに尽きるでしょう。管理人は自分が生まれた前後に販売されていた中級国産一眼レフを並べたいと言う欲求を周期的に感じてしまうのですが、この方面も深そうだなあ。

 
帰省中に実家の近所のDP・カメラ屋で見つけたペトリV6Uを安値で購入。
友人の手によってレンズをOH、見違えるほど綺麗になりました。
ボディ後面には「PETRI V6U」のプレートがあります。
なかなか個性的なボディ・デザインです。
傾斜したペンタ部と斜めに張り出したシャッターボタンが特徴的です。花文字の意味は判りませんがVかな?
シャッター・ボタン上方に露出計用のマウントがあります。シャッター・ダイヤルにも突起部があり連動するようです。
CC.Autoと記述された管理人の所有する2本のペトリ・レンズには、ストロボ撮影時に使用すると思われる、ガイド・ナンバーと撮影距離を示す透明なリングが存在します。この透明なリングが無いペトリ・レンズを目撃した事もあり、詳細は不明。
ペトリV6II+55mmF1.8の作例

ちょい古カメラの紹介へ戻る
「意してプラカメ拾う者なし」へ戻る